日本・韓国間のECデータ連携チェックリスト

日韓をまたいでECの商品・注文データをつなぐ前に確認しておきたい、文字コード・金額・住所・商品名の揺れなどの項目を、実務で起きやすい順にまとめました。
この記事が答える問い
韓国のブランドの商品を日本で売る、日本の注文データを韓国側の仕入れ先と共有する。日韓をまたぐECでは、2つの国のデータを行き来させる場面が必ず出てきます。
日本と韓国は時差がなく、商習慣も近いため「そのまま渡せばつながる」と思われがちです。ところが実際には、文字や表記の小さな違いが原因でデータが壊れたり、同じ商品が別の商品として扱われたりします。この記事では、連携の前に確認しておきたい項目をチェックリストの形で整理します。
結論
日韓のデータ連携で先に決めておきたいのは、次の4つです。
- 文字コード:ファイルをどの文字コードでやり取りするか
- 金額と日付:税込・税抜、通貨、日付の書き方をどう揃えるか
- 住所と電話番号:どちらの国の形式で持つか
- 商品の対応づけ:同じ商品をどうやって同じだと判断するか
特に最後の「商品の対応づけ」は、ほかの3つと違って一度決めれば終わりではなく、運用しながら精度を上げていく部分です。
文字コード:いちばん最初に壊れる場所
日本の業務システムやExcelで作ったCSVは、Shift_JIS(Windowsでは拡張版のCP932)で保存されていることがよくあります。Shift_JISにはハングルの文字が含まれていないため、韓国語の商品名やブランド名を含むデータをこの形式で保存すると、文字が「?」などに置き換わって元に戻せなくなります。
反対に、韓国側のExcelで作られたCSVは、韓国語向けの文字コードで保存されていることがあり、日本側でそのまま開くと文字化けします。
やり取りするファイルはUTF-8に統一すると最初に決めておくのが、もっとも手戻りの少ない方法です。受け取ったファイルが文字化けしていたら、内容を直す前に文字コードを確認してください。
金額と日付
通貨と税
日本円と韓国ウォンは、どちらも小数点以下の単位を使わない通貨です。そのため金額は整数で扱えますが、桁の大きさが大きく異なるため、どの通貨の金額かを必ず列として持つようにします。金額だけの列があると、後から見たときに円かウォンか判断できなくなります。
また、税込・税抜の扱いが混ざると、集計結果が合わなくなります。どちらで持つかを決め、税率を含めて記録しておくのが安全です。税務上の扱いそのものについては、専門家に確認してください。
日付と時刻
日本標準時(JST)と韓国標準時(KST)はどちらもUTC+9で、時差はありません。時刻のずれは起きにくい一方で、日付の書き方(「2026/08/28」「2026.08.28」など)は揃っていないことがあります。日付は「YYYY-MM-DD」のように1つの形式に揃えて受け渡すと、どちらの国のツールでも扱いやすくなります。
住所と電話番号
郵便番号は日本が7桁、韓国が5桁です。どちらの形式も受け付ける項目にするのか、国ごとに項目を分けるのかを決めておかないと、入力チェックで正しい住所が弾かれたり、逆に誤った住所が通ったりします。
電話番号も同様で、国番号(日本は+81、韓国は+82)を含めて持つのか、国内形式で持つのかを揃えておきます。配送や問い合わせ対応で使う項目なので、国の区別がつく形で保存することが大切です。
商品の対応づけ:運用しながら育てる部分
日韓の連携でいちばん手間がかかるのが、「同じ商品をどうやって同じだと判断するか」です。同じ商品でも、チャネルや言語によって商品名の表記や、商品名に含まれる品番の書き方がばらばらだからです。
これは日韓の連携に限らず、複数のモールの商品データをまとめるときにも同じように起きる問題です。あるEC運用プラットフォームで複数チャネルの商品データの統合を担当したとき、当初は乱れた商品名から正規表現で品番を「推測」していましたが、誤検出が多く発生しました。そこで発想を逆転し、すでに把握している正規の品番を、商品名の中から「検索」する方式に切り替えたところ、品番の抽出的中率は57%から72%に改善しました。
この経験から、対応づけで意識しておきたい点は次のとおりです。
- 文字列の推測より、正規のマスタ(品番の一覧)を軸にする
- テキストの不一致は、必ずしも誤った対応づけではない。実際の紐付けで測り直す
- 自信の高いものだけを自動で確定し、残りは人が確認するキューに回す
最後の点は特に重要です。同じプロジェクトでは、1つの商品ページに複数の品番が載っている場合に「選択肢の先頭の品番が正解」とみなす方法を実測したところ、精度は71%にとどまりました。自動で直すには不十分な数字です。自動化するのは確実なものだけにして、迷うものは人が判断する。この線引きが、データを壊さないための最後の防波堤になります。
表記と翻訳
商品名や説明文を翻訳する場合は、機械翻訳だけで済ませず、ブランド名・成分名・サイズ表記などの固有の部分を人が確認する工程を入れてください。特にブランド名は、カタカナ表記が公式に決まっていることがあり、自動翻訳では別の表記になりやすい部分です。
チェックリスト
- やり取りするファイルの文字コードをUTF-8に統一したか
- 金額に通貨の列があり、税込・税抜の扱いを決めたか
- 日付の形式を1つに揃えたか
- 郵便番号・電話番号を、国の区別がつく形で持つようにしたか
- 商品の対応づけの基準(正規のマスタ)を決めたか
- 自動で確定するものと、人が確認するものの線引きを決めたか
- 翻訳した商品名のうち、固有名詞を人が確認する工程があるか
まとめ
日韓のEC連携は、言語が違うこと自体よりも、文字コードや表記といった「見た目では気づきにくい違い」でつまずきます。連携を始める前にこのチェックリストの項目を決めておくだけで、データが壊れるリスクは大きく下げられます。そして商品の対応づけだけは、完璧を目指して自動化しきるのではなく、人の確認を前提に少しずつ精度を上げていくのが現実的です。

Kwangmo Yang
Freelance Developer & Translator · Based in Osaka, Japan
大阪を拠点に、AI業務自動化、Web・ツール開発、日韓の言語サービスを手がけています。
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